フォグライトに余っているHIDキットを移植してみました。 最近はアフターパーツで低価格なヘッドライトHID化キットが販売されています。 さらに安くHID化してみませんか? 解体屋などで手に入るHIDヘッドライトユニットは専用品なのでそのまま移植することはできません。 しかしバーナー自体はどのメーカもほぼ同じなので流用可能です。 ここではバーナーをH3C型へ変更する加工法を紹介します。
 
※ 警告 ※ HIDは点灯時の瞬間電圧が20000V、点灯後の安定時でも85Vの電圧が印加されています。 点灯試験を実施する場合は感電をしないように注意してください。 

作業ポイントとしてはリークを起こさないように絶縁をしっかり行うことです。


作業は各自の責任において実施してください。
 
1.HIDバーナーの分解


 

 写真のバーナーはPanasonic製D2S型になります。 D2R型も外形はほぼ同じで遮光塗装が施されています。 このバーナーをH3Cの台座に取り付けるためバーナーと台座に分解します。

1. ダイヤモンドカッター等で台座を切削し芯線を出します。 一気に切り込んでいくと芯線を切断してしま可能性があるので、注意しながら黒い樹脂の部分を切削していきます。
この作業ではのこぎり等は使わないほうが良いでしょう。



 

2. バーナーの電極が矢印の部分に接合されているので、この部分を切断します。



 

3. バーナーを固定している金具の溶接部分をニッパ等で切ります。
ガラス部分やセラミックチューブを破損しないように慎重に切断してください。



 

4. バーナーと台座が分離できたら、バーナー側に残っている金具を除去します。

2.H3C型のランプの分解


 

H3Cのランプは管を固定している金具の形状が製造メーカによって多少異なりますので、分解する際には形状に応じて工夫してください。

写真のランプは東芝製です。

1. 管を固定している金具の溶接部分をニッパ等で切断します。

2. 端子の付け根をハンダゴテ等で加熱しながら管をゆっくりと引き抜きます。



 

3. 台座から管を抜き取ると、写真のAとBになります。 台座についている端子(C)を折って取り外します。

 この端子を利用できれば良いのですが、コネクタ側の端子を見てみると内部の電極が樹脂の壁を隔てて2mm程度しかなく、確実にリークすると判断したため使うのを断念しました。
3.HIDのバーナーとH3Cの台座部分を接合する


 

1. HIDバーナーのガラス管を通すための穴(4.2mm)を中心にあけます。

2. セラミックチューブを通すための穴(2mm)をあけます。

 穴をあけるときに台座の樹脂部分が多少欠けますが、あとで耐熱パテで塞ぎますので思い切ってあけてください。




 

3. H3CのA~B間の距離と同じ距離になるようにHIDの管の高さを絶縁体のスペーサ等を使い調整します。

ここできっちり調整しておかないと完成時に焦点が狂い、場合によってはノーマルバルブの方が明るくなってしまうこともありますので慎重に作業しましょう。

A~B間、約20.2mmになりました。 プラスチック製スペーサ(写真の黄色い部分)にて調整しました。

※組み上げてから気付きましたが、このスペーサは耐熱性のものを選びましょう。 点灯したときに煙と異臭が出る場合があります。



 

4. 台座の部分に耐熱パテ (今回は Holtsファイアガムを使用) を流し込み、スペーサをつけた状態で図のように管を取り付けます。

5. 乾燥中に管と台座が傾くのを防ぐため、座金の下側にピンセットをあてがい、管の端子に重りを吊るしています。 当然のことながら台座と管は垂直になっていないといけません。

この状態で、一昼夜乾燥させます。バーナーと台座が傾くと焦点が狂いますので注意しましょう。

3.バーナーとケーブルを接続



最初、上の写真のようにリングスリーブを使って作成しましたが、点灯試験を行ったところリークして点灯しなかったため、現在は下の図のようにハンダで接続しています。

 

耐熱パテが十分に乾燥していることを確認し、高圧側とアース側の電極にケーブルを接続します。

1. セラミックチューブ側にリード線(黒)を普通にハンダで接続します。 バーナー側には高圧ケーブル(赤)を接続しますが、ハンダが付かないのでリード線をしっかり巻きつけハンダを流して固定し、バーナー側の線をレ状に折り曲げ抜けないようにします。

2. 熱収縮チューブで絶縁しておきます。

4.ケーブル接続部を耐熱パテで埋め胴体部を形成します


  

1. 台座の直径にあわせてボール紙を筒状に巻きつける。

2. 図の緑丸の部分ができるだけ広くなるように調整しながら、ボール紙の筒に耐熱パテを流し込み、細長いピンで隙間や気泡がなくなるよう混ぜます。

3. この状態で乾燥させます。

耐熱パテの量が多いので完全に乾燥するまで1週間程度かかりました。 加熱すると内部に空洞ができてしまいますので、常温で時間をかけて乾燥させるほうがよいでしょう。
5.胴体部の仕上げ


 

1. ボール紙を剥がし表面を仕上げます。

次の工程に移る前に、ケーブルにヘッドライトユニットの防水カバーを通しておきます。 私はさらに、耐熱パテの部分を保護できるように耐熱性のホースも通しています。
5.バラストとバーナーを接続する為、コネクターを取り付けます。 詳細はこちら
6.フォグライトへ組み込み


  

 ヘッドライトユニットへ慎重に取り付けます。 作業性が悪い場合は先にバッテリやエアクリーナ等を取り外してから作業に取り掛かってください。 絶対にこじってはいけません、セラミックチューブが折れますよ! 取り付けた後、防水カバーを取り付けます。 写真では防水カバーを取り付けた後に、パテの部分に耐熱性のホースを通しています。
7.配線を行い点灯試験を行います。



左側のライトがHID化したもの、右側がノーマルバルブになります。
 
 何回か点灯/消灯を繰り返し点灯不良が発生しないかをチェックします。 もし、点灯しない場合はスイッチをONにした瞬間、配線やコネクタ、耐熱パテ付近から 「ジジッ」 というリーク音が聞こえてきます。 耐熱パテが完全に乾燥せず内部の水分によってリークしているか、電極が近すぎるためです。
 



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